酒と肴と男の料理

私がタコ飯を知ったのは小学三年生の時、瀬戸内海を当時頻繁に往来していたみかん船というのがある。
みかんを満載した木造船。

帆をつけるとまるで、千石船のような型をしたズングリした大きな船であるが、その船長、船長というよりおっちゃんが『クソガキ!おいしいもん作っちゃるけーのー』歯ぬけのおっちゃん、片手に大ダコを持ってニッコリ。

嬉しくなって近寄るがまるで手編のセーターでも編むか、プロレスでもしているかのように格闘が始まった。

タコ飯 写真・写真家 村上宏治

10分もしないうちにタコは大きな釜の中に投げ込まれたが、しばらくは木の蓋を動かす ぐらい生きのいいタコだった。
(さだかでない記憶ですが......だってタコはぶつ切りされていたはずです)

そして私はそのみかん船の船尾で醤油と炊きたてのお米と、絶対に焦げた臭いが混ざり 合った香りの中で、お茶わんを箸でたたいてた。
『腹ヘッタ、飯くわせ、腹ヘッタ、飯くわせ......』ほんとうにクソガキだったのでしょう。

今はそのおっちゃん、ボケてしまったが海に散歩しによく行くみたいだ。 頭の中でタコ飯を作ってるのだろうか...... 漁師さんたちが、釣り船の上でご飯を炊くときに、よくタコ飯を作ったと聞きますが、捕れたてのタコで作るタコ飯は海の香りあふれる最高の美味。

タコを別に味つけしておいてから、米と一緒に炊き込む方法もあるが、タコそのものが新鮮であれば、タコを米と一緒に炊き込む昔ながらの漁師さんの料理法がおいしさを引き立ててくれます。

コロコロと大きなタコの切身がふんわり仕上がったタコ飯は、大らかな海の男たちの心意気を感じる郷土料理の一つではないか。 ぜひおためしあれ!
写真・文 写真家 村上宏治


タコ飯の作り方
(1)

たこを塩もみして、ぬめりをとり、よく水で洗う。   
(ザルの中にたこを入れて塩もみすると、きれいにスピーディーにぬめりがとれる)

 
(2) きれいにぬめりをとったタコをひと口大より大きめにぶつ切りする。
 
(3) 洗い米にだし汁(かつお、こんぶ、醤油)を加え、みじん切りにした   にんじん、ごぼう、あげと(2)のたこを加える。
 
(4) 炊きあがったら、三つ葉ときんし卵を上にのせる。
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制作責任 写真家 村上宏治

大らかな海の男たちの心意気 タコ飯 第11話

 

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